Blog ブログ

Blog

HOME//ブログ//‟生産緑地”を抱える農家に迫る、選択の期限とは?~2022年~

ブログ

‟生産緑地”を抱える農家に迫る、選択の期限とは?~2022年~

 

すこし、過ごしやすい気候になりましたね。

秋が近付いたということは、いよいよ消費税増税が目前に。
それにまつわるブログや記事はたくさんあるので
今回はまだあまり一般に知られていない、「2022年問題」に目を向けてみました。

実家が農業を営む北区のAさんの相談についてご紹介します。

Aさんのご実家は京都で代々続く農家。
その農家の長男として生まれたAさんは幼いころから実家を継ぐ者として育てられましたが、
大学卒業業後就職した会社での仕事にやりがいを感じ43歳になった現在もサラリーマンを
されています。
Aさんのご両親は70歳を超え、近年は農業の規模を大幅に縮小されています。

そんなAさんから「今後の農地の活用や近い将来起こりうる相続や贈与について相談がある」と
連絡をもらい烏丸通を北上しAさんにお会いしてきました。

Aさんのご実家の農地は北区で市街化区域内にあり、京都市から「生産緑地地区」の指定を受けています。
今年の春、今後の選択を迫られる「2022年問題」もあって京都市から当該農地をどのように扱っていくか、周知文書も届きました。




ここで、少しコトバの紹介です。

生産緑地とは?


都市部の市街化区域における農地のうち、一定の要件を満たすものについて、
各自治体が指定したもののことをいいます。
簡単に言うと、人家や商店などを優先的、計画的に建てていく地域だけど、
緑地を守り農業を続けるなら農地として認めますよ、という土地です。
(他にも一定要件があります。詳しくは「国土交通省 生産緑地制度」ご覧ください)

この生産緑地に指定されると、農地以外への転用が原則禁止になるものの、
固定資産税などが一般農地と同様にきわめて低い税率に抑えられるほか、
相続税の納税猶予措置などが適用されます。
逆にいうと、生産緑地に指定されていないと、市街化区域にあるため
宅地並みの固定資産税がかかってしまうんですね。

ちなみに、生産緑地面積をランキングした場合、都道府県別だと全国1位は東京都です。
市町村別にみると、なんと京都市はダントツ第1位の585.3haを有します。
Aさんのご実家だけでなく、生産緑地をお持ちでお悩みの方は少なくなさそうです。


(国土交通省「都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況(平成29年)」より、表にしました)


  • 2022年問題とは?


    上記でお伝えした税率や納税猶予などの優遇の代わりに、生産緑地では農業従事者の死亡など、
    農業を続けられなくなった場合をのぞいて30年間の営農義務が課せられています。
    現存する生産緑地の多くは1992年度、生産緑地法が適用された年に指定を受けているので、
    30年後の2022年に営農義務が外れ各自治体に買取りの申し出をすることができるようになります。

    でも、自治体が買い取ることができない場合は通常は生産緑地としての制限が解除され、
    宅地転用が可能になるのです。


生産緑地を所有する農家が一斉に自治体へ買取り申出を行い、その多くが不動産市場に
放出され、土地価格に影響を与えるのでは?
…と懸念されているのが「2022年問題」というわけです。




さて、Aさんのご相談に戻しましょう。

Aさんのご実家の農地も、2022年に期限を迎えます。

選択肢は主に3つ。

 

1)「特定生産緑地」として延長、農業を続ける。


農地並み課税をそのままに、農業を続けて「特定生産緑地」の指定を受け、
今度は10年ごとの更新となります。


2)土地を活用。アパートやマンションへ。


離農するけれど土地を手放さず、宅地並みの固定資産税を受け入れて土地活用を
行う選択です。実際Aさんの農地の周りには新築の戸建てやアパートがたくさん建っています。


3)土地を売却する。


農業もやめ、土地も手放してディベロッパーなどに売却する選択です。



 

Aさんのご両親は、先祖代々受け継がれてきた農地を守りAさんに
受け継いで欲しいとお考えですが、Aさんは現在の仕事を続けたいので
農業は継ぎたくないとお考えです。

さらに、Aさんのお子さんはまだ小学生。
今後同じような問題が繰り返されることも懸念されています。

私も実家が農業を営んでおりますので、Aさんのお気持ちもご両親のお気持ちも
非常に良く理解できました。

 

そこで私は、

◎ Aさんが農業を継ぎ、このまま農業を続けた場合の毎年の収支と相続税の試算


◎ 農業を継がず、農地を転用・活用した場合の毎年の収支と相続税の試算


を行い、Aさんとご両親に説明しました。

Aさんからは「ぼやっとしていたものが数字で見えてすっきりしました」と、
ご両親からは、「今までは農地を守ることの一択だったけどこうして
試算して頂くと選択の幅が広がりました」と喜んで頂きました。

まだAさんご家族は答えを出されていませんが、明確な試算とともにいろんな
可能性をじっくりご相談のうえ、恐らく気まずい関係になることなく将来を
ご決定されるのではと思います。

この‟いろんな可能性“は、今回の場合2022年の期限直前ではなく、
いまだからこそ持てるものもあります。

時間に余裕がなかったり、突然決断を迫られることになると親族間であっても
関係に亀裂が生じたり、誰にとっても良い方向に進まないことがあります。

反対に時間に余裕があると、ただじっくりと話し合う時間だけでなく、
相続税や土地価格など総合的にみて有益なタイミング、方策を検討し、
みなさんが満足される結果を生み出すこともできます。

生産緑地の延長や農地の贈与、また農地に関わらず相続などで
悩んでおられる方はぜひお気軽にご相談ください。

清心税理士法人は四条烏丸徒歩3分、初回のご相談は無料です。

*記事中の画像はすべてイメージです
SHARE
シェアする
[addtoany]

ブログ一覧